ホームForesight Journalコラム「オレだよ、オレオレ!」を公開しました。ミツイワセキュリティニュース

「オレだよ、オレオレ!」を公開しました。ミツイワセキュリティニュース

オレだよ、オレオレ!

今から10年ほど前、私が現場仕事をしていた頃のお話。

その日は朝から郊外の現場をいくつか回り、仕事を終えたのは日付が変わった後のことでした。都心の事務所まで戻るべく、給油をしようとガソリンスタンドに立ち寄り、車から降りようとしたところで自分の鞄がないことに気がつきました。

すぐさま車内をひっくり返すも、どこにも見当たりません。どこかの現場で落としたか、あるいは誰かの荷物に紛れたか。

財布も携帯電話も鞄の中、ガス欠寸前の車と数時間後に迫る次の現場…

深夜の郊外で一人追い詰められた私は、やむなくガソリンスタンドの店員にすがって電話を拝借。唯一記憶していた実家の番号にかけ、寝ぼけた声の母へまくし立てました。

「オレだよ、オレオレ!今、〇〇にいるんだけど財布と鞄が…!!!」

スッ…と冷めたような声色で、母から一言。

 ―どちら様ですか?―

認証の三要素

対象の真正性を確かめること…例えば、その人が「その人」であることを確認したり、サービスなどを受ける資格を保証することを「認証」といいます。
「人」の認証には、記憶、所持、生体(バイオメトリクス)の3種が存在し、特に近年では、認証技術が向上したことや不正がしづらいこと、衛生面の観点で認証における手続きが非接触で行えることなどの利点から、生体認証の一種である顔認証の活用に注目が集まっています。

「人」の認証
種類 方法 具体例
記憶 本人だけが知っている情報で認証を行う 暗証番号など
所持 所持品により認証を行う IDカード、会員バッヂ、ハードウェアトークンなど
生体 身体的特徴により認証を行う 指紋、静脈、顔、筆跡など

顔認証でできること

顔認証の技術は、企業や商業施設などの入退システムとして需要が高まっているとともに、AI技術との組み合わせによって様々な業種への応用が期待されています。

医療機関では、医師のハンズフリーでの入退、入院患者の顔情報を登録しておくことによる徘徊、離院患者の早期把握、流通業界では要注意人物の特定や迷子探しへの活用に向けた取り組みが始まっています。

さらに、顔認証の技術によって、例えば医師が手袋やマスクの着脱をせずに入退を行えること、受付や警備業務の負担を軽減できることは、情報セキュリティの三要素のうちの一つである「可用性」の向上も見込めます。

①人手での負担を解消しつつ、②業務の標準化・適正化を実現し、③なおかつ情報セキュリティの向上まで期待ができる、まさに「三方よし」の対策です。

顔認証技術の応用の例
業種 活用の例
製造、電力など 工場、発電所における危険区域への立ち入り警戒
医療 医師や職員、患者のハンズフリーでの入退
入院患者の徘徊、離院対策
流通 要注意人物の特定、迷子探し、レジ無し決済
エンタメ VIP会員の判断
なりすまし・チケット転売の防止

安全な運用に向けて

用途が広く、セキュリティレベルも高い顔認証。国内においても今後、益々の普及が見込まれていますが、一方で、高い利便性に応じたセキュリティリスクをも備えています。

一つは、製品によって認証精度の差が大きいことです。生体認証の中でも、特に加齢による容貌の変化や眼鏡、マスクなど着用物の影響を受けやすい顔認証の技術は現在でも発展途上にあり、メーカーや製品によって精度に大きな違いが認められます。

また、代替が難しく、極めて一意性の高い情報である「個人の顔」を扱うため、特にプライバシーの問題には考慮が必要であり、安全な運用には、「正確なリスク評価」とそれに基づく「運用設計」を「導入検討の段階」から行うことが、鍵となります。

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