ホームForesight Journalインタビュー将来像から逆算しRPA推進チームを立ち上げ 3カ年目標を立て計画的に現場活用を推進中

将来像から逆算しRPA推進チームを立ち上げ 3カ年目標を立て計画的に現場活用を推進中

(左から)川崎 、戎野 、西川


インタビュー対象者
ミツイワ株式会社 情報システム部 部長、社内RPA推進室 室長 西川 高正
ミツイワ株式会社 情報システム部 企画開発課、社内RPA推進室 川崎 淳吏
(同課・同室)戎野 結衣

3カ年目標を立て、運用フロー・体制を構築 全社で年間1,246時間の作業時間削減見込み

ミツイワではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)推進プロジェクトチームを2018年4月に立ち上げた。ミッションは社内の生産性向上を目的とした「RPA活用の推進」と、「RPAの外販・商品化」。3カ年目標を立て、1年目は業務検証と技術習得に注力した。2年目を迎える2019年度に入り、社内認知拡大を狙い社内で稼働するRPAを見える化する「RPA Portal(アールピーエーポータル)」と、業務洗い出しの効率化に独自開発した業務フロー作成ツール「FlowCreator(フロークリエイター)」を社内向けにローンチ。現場からのボトムアップ方式と業務効率を判断して進めるトップダウン方式の両アプローチを併用し、全体最適を叶える業務改善を目指す。

「社内の生産性向上」と「外販・商品化」を目的にRPA推進プロジェクト発足

ワーキンググループによる現場課題ヒアリングからスタート
ICTシステムのライフサイクル全般にわたる「ワンストップソリューション」を提供するミツイワでは、新たな事業領域として「自動化/ロボットソリューション」を見据えている。その一環として、代表取締役社長 羅本の号令のもと、2018年4月にRPA推進プロジェクトチームが発足した。

社内RPA推進室室長の西川はRPA導入時の考えを「まずは社内活用からRPAの導入・活用を成功させ、後にそれらの事例から社会適用できるビジネスを生み出したかった」と振り返る。

プロジェクトでは「社内活用」と「ビジネス推進」のそれぞれでWG(ワーキンググループ)を作った。西川は社内活用WGに課題当事者である管理部門(経営管理本部・業務管理本部)のほか、営業本部、サービスエンジニアリング本部、デバイスソリューション本部の主要部門からそれぞれ代表者を任命。まずは各部門に潜んでいる現場課題のヒアリングを行い、RPAを適用できそうな業務を100以上洗い出した。  

対象となる54業務を統制するにはサーバ型が必須だった

100以上の業務から対象業務をフォーカス
業務の洗い出しの結果、RPA導入の対象になり得る既存の業務は54にのぼったという。54の業務すべてをロボット化するには、サーバ上で稼働管理ができ、統制もとりやすいサーバ型が必須条件だった。

サーバ型という条件を踏まえ、ミツイワでは数あるRPAツールのなかから「BizRobo! Basic」を導入した。

なかでも運用時 、管理機能(Management Console)によって、ロボット動作ログやユーザーマネジメント、共有レジストリ、スケジューラー等を管理できる点が魅力となった。

サポート体制の充実もBizRobo!導入の大きな決め手だ。検証段階からミツイワのグループ会社であり、BizRobo!パートナーである株式会社シーイーシーによるサポートを受けた。特に最初の約3カ月は担当メンバーがシーイーシーによる週1回のオンサイト研修を受講。その後もシーイーシー提供のマニュアルやリファレンスをもとに研鑽を積んできた。 「スムーズかつ確実な導入には、ノウハウを持つシーイーシーのサポートは不可欠でした」(西川)

ウェブから情報を取ってくる単純作業から導入

33体のデジタルレイバーが稼働中
プロジェクト1年目は、対象業務の中から営業日取得やメール配信等のよく使う機能を洗い出し、共通部品化することで開発効率の向上を図った。

特に、比較的ロボット構築が容易で、利用者にとってもデジタルレイバーが作業を代行していることが分かりやすい業務から取り掛かった。「ウェブから何かしらのデータをダウンロードし、それを集計したり加工したりして、最終的にアウトプットする——といった単純作業が多かった」と、社内RPA推進室・川崎は振り返る。

例えば「調達・購買管理にまつわる定型業務」もその1つ。調達部では専任スタッフが毎朝、ベンダー(販売店)ごとの納品情報を専用のウェブサイトから取得し、基幹システムに入力する作業が発生していた。時間にすれば1ベンダーごとに1日5〜10分程度の作業だが、毎日繰り返され、時として対象となるデータが多くより時間を取られるケースもあった。

「現在は全社で23業務を対象にトータル33体のデジタルレイバーが稼働中で、調達・購買管理の定型業務は9体のデジタルレイバーが作業を行っています」(川崎)

全社で年間1,246時間の作業時間削減見込み 導入効果

経営的指標以上に「プレッシャーからの解放」が大きい
BizRobo!の導入により、調達・購買管理の定型業務では、担当スタッフの出社前にデジタルレイバーが作業を代替するため、当該スタッフは来社してすぐに仕事を始められるようになったという。1日あたりの時間にすれば数十分程度の作業だが、トータルで見た削減効果は年間1,246時間にものぼる見込みだという。

「毎日の定型業務は、たとえ作業時間が短くてもその人にとって大きなプレッシャーとなるものです。そのプレッシャーから解放させられた点が導入後の効果として最も大きいと思います。将来的には、デジタルレイバーの構築・運用を再雇用者や在宅勤務者等ができるようになれば、働き手の創出につながるのではと考えています」(西川)

プロジェクト発足当初に打ち立てた「3カ年目標」

運用は「ボトムアップ」と「トップダウン」の併用を
ミツイワでは2018年4月から2021年3月までの「3カ年目標」を打ち立て、将来的なビジョン から 逆算してBizRobo!の運用を進めている。具体的なロードマップは「1年目は業務検証と技術習得」「2年目は業務拡大と他ツールとの組み合わせ」「3年目は基幹システム対応」。2年目に突入した現在は、30体のデジタルレイバーを増やすとともに、OCR(オプティカル・キャラクター・リーダー)やAIなどの他ツールとの組み合わせも検証中。社内認知拡大のための「RPA Portal」や業務洗い出しを効率化する「FlowCreator」の開発も行った。

「現場担当者から要望を吸い上げるボトムアップ方式だけだと部分最適にしかならず、全体の業務が見えません。

反対に、社内RPA推進室が主体となり、現場ヒアリングから全体の業務を分析、業務効率を判断してピンポイントで進めていくトップダウン方式だけでは、要件確認から要件定義、開発、業務改善と通常のシステム開発に近いフローを辿り、時間がかかります。

今後はこれら両方の方式を上手に併用し、“全体最適”を叶える業務改善を見出していきたいです」(西川)

部門ごとの独立体制で運用させていきたい

RPA PortalとFlowCreatorを作成 ツール運用で社内の認知・定着を狙う
現在は社内RPA推進室が開発・運用・トラブル対応を担当しているが、「ゆくゆくは部門ごとで独立した体制で運用させていきたい」と西川は話す。そこで「RPA Portal」を2019年度に社内ローンチ。

デジタルレイバーの稼働状況やプロジェクトの進行状況、FAQ等を公開し、社内認知向上を狙う。

現場からのヒアリングを担当してきた社内RPA推進室・戎野は、1年目の経験からロボット構築以前のステップについて 「業務担当者からヒアリングし、 それをパーツごとに細分化。さらにそれを業務フローへ落とし込んでから実際の検証を行うには、 多くの時間を要します」 と話す。

 そこで現場社員が業務の洗い出しを行いやすくするために独自開発したのが業務フロー作成ツール「FlowCreator」だ。操作画面上に「ファイルの移動」「エクセルブックの起動」など、操作ステップごとのボタンがあり、該当ボタンを順番にクリックしていけばフローが完成する。「今後、BizRobo!適用の検証に活用していく予定です」(戎野)

3年目となる2020年度には基幹システムへの対応を予定。さらなる業務の効率化が期待されている。

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