ホームForesight Journalコラムブロックチェーンの可能性を広げる「NFT」とは 第2回

ブロックチェーンの可能性を広げる「NFT」とは 第2回

前回のコラムで、NFTは「オンラインの鑑定書」だと書きました。世界的な規模で展開するオークション会社「サザビーズ」のNFT作品取扱高が1億ドルを突破するなど、NFTはアート作品の売買において急速に成長しています。今年に入ってからもその勢いは止らず、高額な取引が続いています。

デジタルアートの分野で勢いに乗るNFTですが、今年は別の活用分野が注目されそうです。昨年注目を集めたもうひとつのキーワードである「メタバース」との親和性の高さが指摘されているのです。メタバースについては、昨年米Facebookが社名を「Meta」に変更したことが話題になりました。Metaはメタバース(Metaverse)からとっており、これはコンピュータ上に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間を意味しています。
仮想空間と言えば、「セカンドライフ」を思い出す方もおられるかと思いますが、内容はまったく同じで、その意味ではメタバースは別段新しいアイデアというわけではありません。ただ、セカンドライフの衰退(今でもサービスは継続しているようですが)は、同時接続数の制限やグラフィックス性能などの技術的な問題と言われており、AR/VRゴーグルやクラウド環境などの周辺技術が追いついてきたことで、今度こそはブレイクするのではないかと期待されています。これには、新型コロナの影響で外出がしづらくなったことも追い風となっているようです。Metaはこのトレンドをいち早く捉え、社名を変更してまでそれに賭けようとしているのです。
このメタバース内での経済活動に、NFTの活用が期待されています。仮想空間で着用する衣服やさまざまなグッズ、土地や建物などの資産の売買をNFTで売買し、所有権を管理することで、これまでよりも安価かつ柔軟に経済活動を行うことができます。実世界ではデジタルデータのコピーを防ぐことは難しく、所有権の主張しかできませんが、メタバース内であれば、デジタルデータのコピーを禁止して、自分だけの衣服や土地・建物を所有することも可能になります。
また、NFTという、メタバース本体とは基本的に独立したサービスを組み合わせることで、メタバース内でしか通用しない通貨ではなく、仮想通貨による決済が可能になります。複数のメタバース間で資産を移動させたりすることもできるかもしれません。仮想通貨は実際の通貨と交換することも可能ですから、利便性はさらに高まります。セカンドライフでは早くからリアルマネートレードが実装され、それがブームの要因ともなりました。規模の小さいメタバースが同様の機能をいきなりサポートすることは難しいことから、メタバースの多様性や相互運用性に繋がることが期待されます。

そして、元々メタバース的な世界観を持つゲームなどもどんどんメタバースとの融合が進んでいくでしょう。ゲーム内アイテムなどがNFTで流通し、メタバース内での経済活動が活発化して、それらが仮想通貨と組み合わさり、物理的な資産や実体経済とまったく独立した、バーチャルな経済空間が形成されるかも知れません。
「そんなことが起きるのか?」とお思いかも知れませんが、ビットコインは使用開始以来13年を経過し、乱高下はあるもののその価値を上げ続けています。仮想通貨に支えられる仮想空間が実現する可能性は、十分にあるのではないでしょうか。

仮想空間に熱い視線を送っているのはMetaだけではありません。Microsoftは5年前にMRヘッドセットのホロレンズを発表していますし、Appleは今年VRゴーグルを発表すると噂されています。GoogleはYouTubeでメタバース「的」な機能の拡張を進める計画です。ITプラットフォーマーだけでなく、さまざまな企業が続々と参入しています。先のサザビーズも昨年10月に独自のNFTプラットフォームとして「Sotheby's Metaverse(サザビーズ・メタバース)」を立ち上げました。
今年はメタバースの進化と、それを経済的に支えるNFTの組み合わせが世界を変えていくのかも知れません。企業は、この新しい流れにどのように取り組んで行くべきかを考えておかなければならない時期に来ているのかも知れません。

こちらのコラムに関するお問い合わせをご希望の方は、以下のフォームにご入力ください

    ■ブロックチェーンの可能性を広げる「NFT」とは 第2回 についての問い合わせ






    プライバシーポリシーに同意の上、送信ください。
    reCAPTCHAで保護されています。プライバシー利用規約

    インターネットからのお問い合わせ
    総合窓口へのお問い合わせ