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 【2010年9月2日】

「最適化計画の策定」

 今回は最適化計画策定の手順について詳述します。

① 最適化計画書策定の手順

 前項でまとめ上げた「課題」に基づいて、「具体的な解決策」を検討していきます。一般的に基幹系システム(住基、税)においては、課題が300~500程度出て来ますので、これに対して個別に解決策を創る必要があります。総論での解決策は合意できているが、いざ300~500項目もの課題が上がると推進にブレーキがかかる事があります。ここは丁寧に、「課題集約」で整理した視点に分類しながら組み立てていく必要があります。ここでまとめ上げられた具体的解決策は、大変重要な意味を持ちます。何故ならば、ひとつひとつの項目が、現在自分たちの自治体でできていない、あるいは不満足な状態にある、人海戦術で補っているなどですので、調達時点で必ず実現できるものでなければならないからです。つまり、「調達仕様書の具体的項目そのもの」になります。
 くどいようですが、「課題解決策」はイコール「ユーザー要望を反映した調達仕様書」となりますので、手帰りが無いように精査しながら進める必要があります。

② あるべき姿策定

 前項で抽出された解決策は、現状の解決策ですが、「あるべき姿」は将来に向けたビジョン、自治体固有の前提条件、制約条件を網羅したものでなければなりません。自治体が考える中期情報化計画、基本計画、国・県の構想/ガイドラインなどを加味して作り上げていきます。図-1は、最適化に向けた実施方針と・目標を示した事例です。
 具体的項目については、概ね以下のようです。

 ・市民サービス/利便性の強化
 ・更なる業務効率化を実現するシステム再構築
 ・安定性/安全性の強化
 ・法制度改正にスムーズに対応できるシステムであること
 ・新たなシステム利用に柔軟に対応できる、共通基盤の構築
 ・基幹システムと他のシステムとの連携性の強化
 ・国/都道府県の構想;地域情報プラットホーム構想に住居したオープンパッケージの採用
 ・民間の専門知識・技術の活用(アウトソーシング⇒将来地方自治体クラウドとの連携)


 図-2は、最適化計画書を策定する前に作る、あるべき姿を現したものです。



③ 運用改善に向けた整理=「統合運用管理」の導入

 再構築において、骨格となるシステム(アプリケーション=パッケージ)そのものだけに焦点を当てがちですが、実は最も年間経費がかかっているのは運用保守費用です。  日本の全業種における年間情報投資のうち、65%運用保守費用であるという調査結果が出ています。自治体においても概ねこの%に比例しています。  何故このような数値になるかというと、過去10年間程度の間に、情報利用の多様化が進み、汎用機スクラッチ型オーダーメード/基幹系システムと、各原課ニーズで調達されたオープンパッケージ/個別システムとが混在、併用して利用されている事に起因しています。汎用機のみの運用においては集中管理、一括契約により効率のよい運用が成されていましたが、個別システムの調達では、調達先と個別契約してきたことから運用保守コストの肥大化を招くことに繋がっています。つまり、汎用機の運用保守コストと個別システムの運用保守コストとが積み重なって年々増加することにより、情報投資を押し上げる事になっています。
 再構築においては、庁内システムの連携性や、個別システムを考慮に入れた「統合運用管理」の導入を合わせて具体化していく必要があります。具体的狙いは、以下の3つとなります。

 ・TCO(Total Cost Ownership:IT総経費)の削減
 ・安全性/継続性の確保
 ・運用効率の改善向上
 この3つを、再構築の必須条件として組み込むことにより、運用品質を定量的に測定するとともに、運用品質継続的向上を具体化することができます。  これは自動的に、原課の煩雑な情報システムの周辺業務を極小化する事に繋げることができ、TCO削減に直接寄与する事が可能となります。  図-3は、統合運用管理再構築計画策定に向けた手順と概要を現したものです。



④ 地域情報プラットフォーム活用に向けて
 2009年9月、2010年1月には地域情報プラットフォームに準拠した行政統合パッケージを利用し「相互接続確認イベント」が行われ、共通基盤上で他自治体とのパッケージ協働利用などが促進される可能性が出てきています。次世代電子行政基盤の実現段階に応じて、次期調達においては、最新の状態での将来像を仕様書の中に盛り込み、ベンダーから企画提案をしてもらう必要があります。図-4は、地域情報プラットフォームイメージです。



 以上のような項目をまとめて新システム構築から構築後の運用に至るまで、全体最適化を前提とした最適化計画書を策定します。図-5は、その目次のサンプルです。



 次回4回目は、「調達に向けた仕様書作成」について詳述します。

 

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著 者


岡積 正夫 氏

株式会社流通戦略総合研究所 代表取締役

民間企業情報システム部長(マルチメディア事業担当部長兼務を経て)
2002年3月 (株)流通戦略総合研究所代表取締役社長 現在に至る
京都大学大学院経済学研究科非常勤講師(02年~03年)
慶応大学SFC研究所講師(04年~07年)
経済産業省SLA研究委員会委員(03、04年度)など

著書:「地方自治体行政情報システム再構築のための最適化マニュアル」(財)経済産業調査会等多数
・ 地方自治体情報システム最適化・再構築 ・調達とその他関連支援等多数
・ ITアウトソーシング事業立ち上げ、コンサルティング実績:大手流通サービス業、製造業、運輸業など多数